ヴァージンロード <続>Mysterious Lover

「こんな、こんなみっともない……情けない自分、大嫌いでっ……やめたいのにっ!」

は……?

奈央さんは、オレの胸をポカポカ、叩きながら涙をこぼした。

「わたしは年上だし、しっかりしなくちゃって。スマートにかっこよく、拓巳の夢、応援しなきゃってっ……会いたいなんて、言っちゃ、拓巳を困らせちゃダメだって。でも……前の彼女の話とか、聞いて……ナディアさんと一緒のとこ見て、仲よさそうだなって……そしたらもう……嫉妬でぐちゃぐちゃで……。この前だって久しぶりに拓巳に会えて、すごくうれしかったのにっ……かわいくないことばっかり言っちゃうし……あげくの果てに倒れて救急車とか……嫌でしょ? こんな、めんどくさい女、迷惑だよね? ごめんなさい、自分でも情けなくて……ごめんね、もう、やめるからっ……がんばって、やめるから。だからっ…………嫌いに、ならないで……っ」


涙混じりに、その唇からほとばしる言葉を、
オレは黙って聞いていた。


……何も言えなかった。
何も言えずに。


言葉の代わりに、彼女の身体を抱きしめた。
ギュッと、強く。一つに溶けてしまえばいいのにと思いながら。

「たっ……くみ?」

そして涙に濡れた頬に、瞼に、唇に、次々とキスを降らせた。
「んっ……たくっ……」
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