ヴァージンロード <続>Mysterious Lover
それから。
もう一度両腕の中に閉じ込めて、耳元にささやきを落とす。
「そんなかわいいこと言って。どんだけオレの理性、試したいわけ?」
「え……か、かわいい? どどどこが?」
「今、オレすげえ幸せ」
「え……え?」
「だってそれだけ、奈央さんがオレのこと、想ってくれてるってことだろ? 嫉妬で泣いちゃうくらい」
「う……」
どうしようもなく緩んでしまう頬のまま、
奈央さんの額に、自分の額をコツンとぶつけた。
「ヤキモチ焼きの奈央さんも、我がままいっぱいの奈央さんも、オレにはかわいいとしか思えないから、嫌いになんてなるわけないんだけど。でも、ちゃんと弁解はさせてほしい。教えてくれる? ナディアに何を言われたのか」
ためらうようにさまよっていた瞳が、しばらくして、ようやくオレをまっすぐ見つめてくれた。
「……アメリカにいた頃の話」
「うん。なんて言ってた?」