ヴァージンロード <続>Mysterious Lover

——お前なんか、パパじゃないっ! ママを放せ! 放せよぉおっ!!

オレは必死でもう一度立ち上がると、工藤の足にしがみついた。

でも。またあっけなく吹っ飛ばされて。


——拓巳ッ!! やめてやめて! お願いだからやめて!! 拓巳が死んじゃう!



おかしいだろ。

ほんのガキの頃の記憶なのに。
今もはっきり覚えてるんだ。
テレビ台にぶつけた後頭部の痛みとか、口の中に広がる血の味とか。

——約束するな? こんなとこ出て、戻ってくるって。約束してくれ。もう俺から離れていかないって。

——も……いや……やめて……

お袋の首筋にナイフをあてながら、工藤がささやく。


オレは、何もできない非力なガキで……
ガタガタ震えながら、見ていることしかできなかった。
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