ヴァージンロード <続>Mysterious Lover

——出ていくのはお前の方だ。

ふいに。
凛とした声が響いて、振り向くと。
先生が立っていた。

——吾妻先生!

——警察には今連絡した。不法侵入と脅迫の他に、傷害罪も加えられたいか? いや、殺人未遂か。

——お前か、祥子の新しい男は。

工藤はお袋を放すと立ち上がり、その切っ先を先生に向けた。


——やめて! 違うの、吾妻先生はそんなんじゃっ!


工藤の目が、殺意を宿して光った。

——オレがお前を、祥子を奪ったお前を、許すと思うか? 

——ほう、どうする?

——後悔させてやるよ。祥子に手を出したことを。あの世でな。


——先生逃げて!


お袋の悲鳴を突き破るように、工藤のナイフが先生に向かって突進した。



——せんせえっ!


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