ヴァージンロード <続>Mysterious Lover

先生の手には、階段の下に落ちた衝撃で、壊れてしまったおもちゃ。

——ほんとごめん、楽しみにしてたのにな。今度新しいの買ってくるから。


申し訳なさそうに言う先生に、オレは首を振って。
——先生、ぼく、おもちゃはいらない。これから先も、ずっと何もいらないよ。

——え?

——でもね、代わりに欲しいものがあるんだ。

——欲しいもの?

——先生、ぼく、パパがほしい。先生がなってくれない?


2人は……絶句してた。
まぁ当たり前だよな。

——な、何バカなこと言い出すのっ!

お袋は慌てふためいて叫んで。

先生は、何も言わなかった。
ただ、困ったような顔で笑っていた。

——ぼく、もう誕生日もクリスマスも、プレゼントなんてなくていい。いい子にするよ。勉強もいっぱいするよ。だから、だからお願い、先生、ぼくのパパになってよ!
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