ヴァージンロード <続>Mysterious Lover
毎年巡ってくる父の日や父親参観……一体奈央さんは、どんな気持ちで迎えていたんだろう?
オレが当然のように受け取っていたその優しさは、
本当なら別の人のためのものだったのに。
オレの、行動が。自分勝手な行動が。
奈央さんから、香澄さんから、大切な家族を、奪ってしまった。
償えるものなら、どんなことだってする。
時間を巻き戻せるものなら。どんなことだって……!
オレはただ、唇を噛み、じっと頭を下げていた。
すると。
そっと……
奈央さんの指が、オレの頬に触れた。
びくっと体を起こすと、視線の先、奈央さんが微笑んでいた。
「わたしが、拓巳のせいだって、言うと思った?」
「でも……っ」
オレの、せいだ。間違いなく。
「そんなの、拓巳のせいじゃない。誰のせいでもない。誰も悪くないんだから」