ヴァージンロード <続>Mysterious Lover

「……許して……くれるの?」

「許すとか許さないとか。そもそもそういう問題じゃないでしょ? 拓巳が携帯を隠しても隠さなくても、きっと2人はつきあってたと思う。人を好きになる気持ちって、周りの誰かがどうこうしたところで、ゆがめたりねじ曲げたり、できるものじゃないから」

「奈央さん……」

「前のわたしだったら、こんなこと言えなかった。……でも今ならわかる」

「今、なら……?」

奈央さんは頷いた。
「拓巳の元カノのこと考えて嫉妬したり、遠恋ってつらいなって落ち込んだり、仕事に集中できなかったり……正直もう疲れたなって、無理かもしれないって考えたこともあったけど。でも……だめだった。どんなに止めようとしても、この気持ちは止められなかったから。どうしても譲れなかったから。拓巳のこと好きだっていう、この気持ちは」


さらりと空気の中に流れていった言葉を、
消えてしまわないうちに、オレは追いかけた。
「…………え……奈央、さん……? 今、なんて……」

その両肩をつかんで、顔を覗き込むと、
奈央さんがふわりと微笑む。

「拓巳が、好き」
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