ヴァージンロード <続>Mysterious Lover
オレは、迷いを振り切るように続けた。
「黙っていてすみません。オレ……神崎祥子の、息子です」
言った途端。
目の前で、柔和な笑みはあっという間に消え、色を失っていった。
「お母さん、あのねっ……」
言いかけた奈央さんの腕を引く。
「拓巳……」
不安そうな奈央さんに視線を合わせ、首を振った。
門前払い、それもあり得ると覚悟してきたんだから。
でも……
「……ここじゃ寒いでしょう、どうぞ中へ」
意外に落ち着いた声が響いて、香澄さんはドアをオレたちのために大きく開けてくれた。
◇◇◇◇
リビングのソファ、オレと奈央さんの向かい側に座ると、
くすりと、香澄さんの口元が笑みを作った。
「奈央がずっと紹介してくれなかったのは、相手があなただったからなのね」