ヴァージンロード <続>Mysterious Lover
「驚かせてすみません。オレが、奈央さんに口止めしてたんです。自分の口から自己紹介させていただきたかったので」
「……あの人は……お父さんは知ってるの? あなたたちのことを」
オレは頷いた。
「必ず幸せにしろと、言われました」
「そう……」
何かを思い出すように、彼女の瞳は、しばらく宙をさまよっていた。
数秒だったのかもしれない。
でも数分、数十分くらい長く感じた沈黙が過ぎて。
香澄さんが、ふぅっと息を吐いた。
「正直、戸惑っているけれど……でも、それは全部大人の事情よね。あなたたちには関係ないんだし、誰も反対する権利はないわ」
香澄さんは優しい。どこまでも。
すべての葛藤を自分の胸に秘め、笑ってオレを受け入れようとしてくれる。
こんな優しい人を、オレは傷つけたんだ。
死を願うほどに、追い詰めた。
だから、オレは言わなきゃいけない。告白しなきゃならない。