ヴァージンロード <続>Mysterious Lover
その先にある答えは……
どうして気づかなかったんだろう? その可能性に。
でも、まさか……
香澄さんは、オレに向かって頷いた。
「わかった? つまりね、あなたの7歳の誕生日よりずっと前から、2人はもう関係ができていたの。あなたが気づかなかっただけ。だから、その夜携帯を隠したことに、あなたが責任を感じる必要は、まったくないのよ」
オレの、せいじゃ……ない……?
「あなたが7歳だと、奈央は小学校の高学年でしょ。その頃って、もう私は奈央を連れて家を出ていて、離婚に向けて話し合いを進めてた時期だったから、そのための電話だったと思うわ」
オレはゆっくりと、ソファに全体重を預けた。
「拓巳……拓巳のせいじゃないのよ。違ったのよ」
奈央さんのうれしそうな顔を見つめながら。
全身からゆるゆると力が抜けていくのを感じた。
パリパリと、張りつめていた何かが、
オレを縛り付けていた何かが、剥がれて。落ちていく。
瞼の裏が、熱い。