ヴァージンロード <続>Mysterious Lover
オレの……せいじゃない。なかった……。
よかった……
深海から水面に浮かび上がったダイバーみたいに、
オレは何度も呼吸を繰り返して。
胸の奥から突き上げるようにこみあげてくるものを、
必死に飲み下した。
「ありがとう」
——え?
狼狽えながら体を起こす。
今、香澄さん、ありがとうって言ったのか?
「奈央を愛してくれて。あきらめないでくれて、ありがとうございます」
彼女は、驚いたことにオレに頭を下げたんだ。
「ちょ……や、やめてくださいっ」
「私ね、うれしいのよ。奈央が、誰かを愛することができる子に戻ってくれて」
「え……わたし?」
奈央さんが目を丸くする。