ヴァージンロード <続>Mysterious Lover
新郎側の席でひときわ目立っているのは、ド派手な長身の2人。
ナディアとライアンだ。
実はこの2人、今オレの会社を手伝ってくれてる。
一人で始めるつもりだったのに、計画を話した途端、「おもしろそう」の一言でさっさと会社を辞めてしまった。
ナディアはともかく、ライアンの方はいわゆる御曹司ってやつなのに、いいのかよ? って、心配しないわけじゃないけど……まあ、言ったって聞くようなやつじゃないしな。放っておこう。
2人がいてくれて、心強いのは確かだから。
思えば、こいつらとの出会いのおかげで、今のオレがあるような気がする。
国籍、肌の色、文化や嗜好。
周りとは違う自分を、でもこいつらはごく自然に受け入れ、胸を張って生きていた。
自分、っていうブレない軸がいつもちゃんとあって。
自分の人生を自分でプラニングして。
いくつものステージを軽やかに渡っていく。
他の誰とも違う自分の人生を、楽しんでる。
信じているのは、自分。
自分の力。自分の可能性。
信じていいんだってこと。
こいつらは自分自身で、オレに示してくれた。
それが、オレを縛っていた鎖を断ち切ってくれた。