ヴァージンロード <続>Mysterious Lover
——ほっとくと彼女、奪われちゃうかもよぉ?
くそっ……!
考えただけで、嫉妬で目がくらみそうになって、
オレはシーツにこぶしを叩き付けた。
6時過ぎ、ついにオレはまだ暗い部屋の中で起き上がり、
クローゼットからスーツケースを引っ張りだした。
そして手あたり次第、荷物を詰め込んでいく。
廊下の先で、玄関の鍵がガチャガチャと回る音がした。
そして、踊るような乱れた足音が廊下を抜け、
開け放したドアからライアンが顔を出す。
「あれぇタクミ、もう起きたのかい? 早起きだね。ぼくはこれから寝るよ。彼女ったら寝かせてくれなくってさぁ。ファンタスティックな夜だったなぁっ」
上機嫌で言い放ち、そしてふと、オレの手元に視線を落とした。
「……何してんのさ?」
「悪い、ボスに伝えといて。しばらく東京に戻るから」
「……What?」