ヴァージンロード <続>Mysterious Lover

渋る香澄さんに、
「神様はそんなに心狭くないっ! 絶対お母さんと歩くから!」って奈央さんが譲らなくて。
彼女なりのけじめと、感謝の気持ちなんだろうと思う。

結局、香澄さんが折れた。

親父は少し残念そうだったけど。

再会した奈央さんから「お父さん」て呼ばれるなり号泣して。
それからはもう、オレが妬いてしまうくらい、毎日のようにLINEでやりとりしてるし。
式の1週間前からは、「奈央の結婚式に出席できるとは思わなかった。ありがとう」って毎晩オレに泣きながら電話してくるし。
だからまあ、こっちはこっちで、幸せそうだ。


意外だったのは、お袋と奈央さんが、結構ウマが合ったってこと。
心配してたよりずっと、なごやかな雰囲気だった。

——だって、拓巳を産んでくれた人だから。この人がいなかったら、拓巳とも会えなかったんだなあって思ったら、感謝しかないもの。

もちろん、それはオレの、香澄さんに対する思いと同じだ。
奈央さんを産んで、育ててくれて、本当にありがとうございます——


さらに視線を動かしていくと……
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