ヴァージンロード <続>Mysterious Lover
——会ってないの?
ごまかされるかと思ったけど、親父は意外にも冷静に頷いた。
——離婚してからは、一度も。写真だけは、彼女の母親が送ってくれるんだが。
——会いたく、ないの?
——え?
——奈央さんに、会いたくない?
——そりゃ会いたいさ。もう大学生だ。進学祝いも……してやってない。
親父の目は、オレを通り越してどこか遠くを見ていた。
幼い奈央さんと、成長した大学生の奈央さん。
その点と点を結び付ける線を、見つけようとするかのように。
——会えば?
オレが切り込むと、数秒間の空白の後、視線がリビングに戻ってきた。
——……え?
——オレもさ、会ってみたいんだよね。ほら、オレ一人っ子だから。姉貴とか、ちょっと憧れててさ。いろいろ進路の相談とかのってもらえたらなーって。
—— ……。
じっとオレを見つめたまま何も言わない親父に、オレは焦れ始めた。