ヴァージンロード <続>Mysterious Lover
『……会ったんだ? バンクーバーで?』
「え? あぁ、うん。シアトルで仕事があったとかで、その時に。シアトルとバンクーバーって近いから」
『ふぅん……』
トラブルメーカーだったナディア。
いつもあいつの周りは大騒ぎで。毎日何かしら問題が起きていた。
まあ、オレも類友だったわけだけど……。
むちゃくちゃやってたボストンでの学生時代を思い出して、オレは苦笑した。
『……きれいな、人よね』
きれい……?
ぽつりとこぼれた奈央さんの言葉に首をひねる。
うーん……どうだろう?
「まあ……個性的な美しさ、はあるかも」
『……うん』
奈央さん……?
やっぱり、声のトーンがいつもと違う?
画面の中、そこに生じる音声と画像のわずかなタイムラグは、
日々、思った以上にオレの中へ苛立ちを蓄積していて。
焦れたオレは、その表情の向こうにあるものが見えやしないかと身を乗り出した。
奈央さん、あなたは今、何を考えてるんだ?