ヴァージンロード <続>Mysterious Lover
そんな自分が恐ろしくて、でも奈央さんへの想いは膨らむばかりで、
そんな自分が許せなくて。
自分の存在が許せなくて。
オレは逃げるように、アメリカへ渡った。


それから数年後——
アメリカでいろんなヤツと出会い、いろんなものを見て。

オレはもう一度、奈央さんへの気持ちと向き合う決意をした。
たとえどんな結末を迎えても、絶対にあの男と同じ道はたどらない。
そう心に誓って。

奈央さんに会おう。会って、全部打ち明けよう。
玉砕は、覚悟の上だった。
それでもあの人が、オレの存在を知ってくれたなら、
あの人の目に、オレが一人の男として映ったなら、
それだけでもう、十分だ。

だから。一昨年のイブ、
奈央さんが空港に追いかけてきてくれて、オレを待ってるって言ってくれて、本当にうれしかった。幸せだった。
生きていてよかったと思った。

でも……。

今また、前に進むことをためらってる。
進みたいのに……
進めない。
何やってんだろうな……オレ。


そして——
わずかな振動とともに、飛行機が大地を、とらえた。
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