ヴァージンロード <続>Mysterious Lover
「いえ、ちょっと用事があって、一時帰国なんです。さっき羽田に着いたばかりで」
「へえそうなのかあ」
「高林さんは……お仕事ですか?」
「うん。ほら、前に亀井くんや沢ちゃんと一緒にやった撮影、覚えてる? あれがトワズ本社の上の人たちにすごく気に入ってもらえてねえ。最近はパンフレットやカタログの撮影にもご指名いただいてるんだよ。今日はキャンペーン用ポスターを撮る予定なんだ」
「そうなんですか」
オレはなんだかうれしくなって頬を緩めた。
素人目に見ても、あの時の写真はいいなって思ってたから。
すると。
業界で大御所と呼ばれるその人は……なんだかモジモジとオレを見る。
「ねえ亀井くん。今、時間あるかなあ? あ、やっぱり用事あるよねえ。沢ちゃんとデートの約束とか?」
「いえ、別に……大丈夫ですよ」
約束も何も、まだ連絡すらとれてないんだから。
オレが言うと、「ほんとかい!?」って、目の前の顔がパッと明るくなる。
「実はさ、今日アシスタントくんがねえ、急病で来られなくなっちゃって。手伝ってもらえるとすごく助かるんだけどなあ」
アシスタント? オレが?