ヴァージンロード <続>Mysterious Lover
オレは次々繰り出される指示のまま、
撮影商品の位置を修正し、小物を配置し。
照明を合わせ、露出を測り、レフ板を調節する。
そこにはピリリと冴えわたり、呼吸することすらためらわれる
厳粛な雰囲気が漂っていた。
ミリ単位の修正を繰り返し、何度も入念に確認をして。
「よし、終〜了〜」
ホッとしたような、気の抜けた声が響いた時には、両腕がピリピリと痺れていた。
「見るかい?」
いつも通りの、のほほんとした顔に戻った高林さんから手渡された、ラフプリントを覗く。
「うわ……」
思わず、声が漏れた。
それは。
ダイヤモンドに体温ってものがあるんじゃないかと錯覚してしまうくらい、
温かみや柔らかみが立ち上り、
その先にある満ち足りた幸福まで想像できるような1枚で。
やっぱり、この人はすごいな……
無意識に感嘆のため息をついていた。
そして、ハッとした。