ヴァージンロード <続>Mysterious Lover
4. 嫉妬

片づけを終えると、高林さんと再会を約束して別れて。
ナディアが指定した場所へ急いだ。

その店は、偶然にもオレがチェックインしたホテルからそんなに遠くない、
都庁の近くにあった。

付近の会社員向けにランチを提供しているらしい、カジュアルな店構えのカフェだったけど、夜は照明を落とし、ダイニングバーとして営業しているようだった。

広い店内は奥行きがある上、目隠しのグリーンがうまく配置されていて、
そこそこ席は埋まっているはずなのに、
混みあっている雰囲気を感じさせない。

「ハーイタクミ! こっちよ」

目立つ赤毛を帽子の下に隠したナディアが、
窮屈そうにカウンターの小さなスツールに腰を押し込んでいた。

ゆったりしたブラウンとゴールドのパンツスーツは、
ま、こいつの普段着からすれば、かなり控えめ、といっていいだろう。

でもメイクの方は……またモデルチェンジしたな。
前会った時から、2割増しだ。

オレはあきらめ半ばで頭を振り、辺りを見回した。

「どこだよ奈央さんは?」
< 47 / 173 >

この作品をシェア

pagetop