ヴァージンロード <続>Mysterious Lover
4. 嫉妬
片づけを終えると、高林さんと再会を約束して別れて。
ナディアが指定した場所へ急いだ。
その店は、偶然にもオレがチェックインしたホテルからそんなに遠くない、
都庁の近くにあった。
付近の会社員向けにランチを提供しているらしい、カジュアルな店構えのカフェだったけど、夜は照明を落とし、ダイニングバーとして営業しているようだった。
広い店内は奥行きがある上、目隠しのグリーンがうまく配置されていて、
そこそこ席は埋まっているはずなのに、
混みあっている雰囲気を感じさせない。
「ハーイタクミ! こっちよ」
目立つ赤毛を帽子の下に隠したナディアが、
窮屈そうにカウンターの小さなスツールに腰を押し込んでいた。
ゆったりしたブラウンとゴールドのパンツスーツは、
ま、こいつの普段着からすれば、かなり控えめ、といっていいだろう。
でもメイクの方は……またモデルチェンジしたな。
前会った時から、2割増しだ。
オレはあきらめ半ばで頭を振り、辺りを見回した。
「どこだよ奈央さんは?」