ヴァージンロード <続>Mysterious Lover
奈央さんと付き合い始めて、そして遠距離恋愛を始めて1年以上が過ぎ。
オレは今、カナダのバンクーバーにいた。
予定ではニューヨークに行くはずだったけれど、
着いてから即効で変更し、手続きをした。
理由の一つは、大学時代の友達がこっちで勤めていて、その会社で働かせてくれるという話があったこと。
そしてもう一つは……
「ヘイ! タクミ。オゲンキデスカ?」
カタコトの日本語を口にして笑う同僚の肩を叩き、オフホワイトの壁とネイビーブルーのマット、2色のコントラストが際立つフロアへ足を踏み入れた。
高い天井が特徴的なゆったりしたオフィスは、パーテーションで細かく仕切られていて、その1つ1つが個人用のワークスペースになってる。
午前中ビジネス系のカレッジに通ったあと、オレはここでSEとして働いていた。
すれ違う同僚たちに声をかけながら奥へと進み、自分用のブースへカバンを置く。
パソコンを立ち上げ、仕事の進捗状況を確認していると、
「今日のラブコールはもう終わったのかい?」
流暢な日本語が聞こえた。