ヴァージンロード <続>Mysterious Lover
だめだ。
今度触れたら、次はもう……止まれない。
強張り、不安に陰るその人の顔を、視界から遠ざける。
そんな目、させたくなかったのに——
オレは床に落ちたカーディガンを拾って、奈央さんの肩にかけた。
「しばらくこっちにいるから。話の続きは、また今度にしよう。明日も仕事だろ? 送っていくから。もう帰った方がいい」
奈央さんが、目を伏せた。
「……一人で帰れる」
硬い声で言うと、床から荷物を取り上げ、駆けるように部屋から出ていく。
バタン——
閉ざされたドアを、黙って見つめることしかできず。
「くそっ……!」
彼女が消えたそのドアを、オレは思いっきり殴りつけた。