ヴァージンロード <続>Mysterious Lover

何度も場所を確認する。
確かに……ここにあったよな?

店内をくまなく見て回ったけれど、
どこにもそれはなくて……。

「プレゼントをお探しですか?」
ショートカットの若い女性スタッフが、ショーケースを拭いていた手を止め、
近づいてきた。
昨日は見なかった顔だ。
「ここにあったと思うんですけど……ダイヤが4つついた、プラチナのリング」

オレが言うと、彼女もそのリングに思い当たったらしい。
顔を曇らせて「申し訳ありません」と頭を下げた。
「あちら、とても好評で。今朝、最後の1点が売れてしまいまして……」

……売れた?

「入荷予定とか、わかりませんか?」

「申し訳ありません。うちの商品はすべて数量限定でして。再入荷は行っていないんです。他店舗でも、あのアイテムはすべて売り切れで……」

そう……か……。
ないなら……仕方ないな。
奈央さんに、似合いそうだったけど。

思いのほか、オレはあれが気に入っていたらしい。
すぐに他のリングを選ぶ気にもなれなくて、店から出た。
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