ヴァージンロード <続>Mysterious Lover
「あの不安そうな顔見てればわかるさ。君の自制心の強さには感心するよ。あんなかわいい恋人、俺なら告白と同時に押し倒してるね」
そして病室のドアを開け、顔だけをオレに振り向けた。
「お前に、この中に入る資格はない」
バタン——
昨夜と同じ、すべてを拒絶する音がした。
奈央さん……
奈央さん……
立ち尽くすオレの耳に、病室の中の声が漏れ聞こえた。
——奈央っ!? 気が付いた!?
——奈央ちゃん、わかるかい? 君、倒れたんだよ。撮影中に。
——え……うわ、どうしよう、みんなに迷惑……
——あんたはねえ、こんな時にそんなこと考えなくていいのっ!
——全然大丈夫だよ。現場は俺がちゃんと最後まで仕切っておいたから。
——えー、和馬さんの仕切りじゃ、ますます心配。
——ちょっ……奈央ちゃん、それってひどくないか!?
——あはははは……
ドア越しに、笑い声が響く。
明るい声。
よかった。元気そうだ。