ヴァージンロード <続>Mysterious Lover
ちらりと、上目遣いに親父を見ると。
案の定。
その表情は、金縛りにあったみたいに、動きを止めていた。
目を見開いて、ぽかんと口を開いて。
あぁ相当びっくりしてる。やっぱり、そうだよな。
なんだかおかしくなって、オレは口の端をゆがめて笑った。
「まさか、なんで……彼女は、し、知って……」
「知ってるよ。オレが、神崎祥子の息子だって」
「それで……つきあってる、っていうのか?」
「奇跡だろ? オレもそう思う。彼女がオレのこと受け入れてくれたときは、ほんとに神様に感謝した」
「…………」
長い長い沈黙。
オレは親父の視線を避けて、ずっとうつむいていた。
しばらくして、
「そうか」
親父は独り言ち、そして笑いがにじんだ声で続けた。
「それにしちゃ、浮かない顔をしてるじゃないか。反対されると思ってるのか?」
オレは首を振る。
「……思ってないよ。少なくとも、親父たちには。でも……香澄さんは、喜んでくれないよな。きっと」