ヴァージンロード <続>Mysterious Lover
何しろ香澄さんは、親父とお袋の不倫が原因で自殺未遂にまで追い詰められたのだから。
自分の娘が、元夫の愛人の息子と付き合うなんて、絶対認めないに違いない。
親父も、哀しそうに小さくため息をついた。
「だろうな」
「……わかってる。だから、準備もしてたんだ。反対された時の」
「準備?」
これは……言うべきなのか?
迷ったけど。
一度堰を切ってしまった気持ちは、留めることなんてできなくて。
オレは、言葉を続けた。
「全部、捨てるつもりだった」
「捨てる……?」
「奈央さん以外のもの、全部。しがらみも過去も、全部捨てて、新しい土地で2人で始めようって思ってた」
目の前で、息をのむ気配がした。
そして、親父はゆっくりと頷いた。
「なるほど……それで、カナダなのか」