ヴァージンロード <続>Mysterious Lover
ため息をついて切り出した。
「……その、親不孝して……ごめ」
「ありがとう」
言葉が、重なった。
「え?」
お袋はにこっと微笑んだ。
「私に、母親としての幸せをくれて、ありがとう」
その手が伸びて、オレの前髪をくしゃっとかき回す。
「もう……すっかり大人なのね」
「お袋……」
「お昼ご飯くらい、食べてく時間はあるでしょ? すぐに用意するから」
そういうと、落としたスーパーの袋を拾い上げ、キッチンへ入っていった。
後姿を、見送って。
振り返ると、親父が優しく頷いていた。
オレは大きく息を吐く。
東京へ、戻ろう。
彼女がどう答えを出すのか、確かに怖いけれど。
オレの気持ちは、もうずっと前から、決まってるんだから。
想いは、たった一つ。
彼女を、失いたくない——