ヴァージンロード <続>Mysterious Lover

「やっぱり誰かにつけてもらおうってカメラマンさんが言って。その場にいた全員が、リングを試したんです。私たちスタッフも含めて。なんとか一人だけ、撮影スタッフの中ではまる人がいたので、その人の手で掲載したんですけどね。まるでこの撮影、呪われてるみたいって、こんな大変な現場もうごめんだって、みんな言ってましたよ」

「そんなことがあったんですか……す、すみません。私全然知らなくて……」
佐伯さんは恐縮しきって小さくなってしまう。

「嫌ですよねえ、有名モデルが着用したものだったらともかく、誰かわからないスタッフが、すったもんだのあげく、つけたものなんて」

呪われた撮影ってのは、確かに気になるけど……
でもオレは、中里さんがオレに勧めた、っていう事実に興味をひかれた。
「掲載誌って、ありますか?」

「あっはい、今お持ちします」

佐伯さんが持ってきてくれた女性ファッション誌<ヴィラ>には、
見開き2ページにわたって「永遠を引き寄せる、オンリーワンジュエリー」なる特集が組まれていた。

左ページ下、8分の1くらいの小さなスペース。薬指にぴたりと収まって、あのリングが紹介されてる。

あれ……細くて白い、この指……
どこかで見たことが……
オレが記憶を探っていると。
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