ヴァージンロード <続>Mysterious Lover
「あぁそうそう、思い出した。これはめた人、沢木さんっておっしゃったっけ」
加納さんのナイフみたいに尖った指が、スタッフクレジットの<文・沢木奈央>という文字を指していた。
奈央さんが、はめた指輪……?
信じられないような思いで、クレジットの先を目でたどる。
やっぱり。カメラマンは、高林さんだ。
——それ、気に入ったのかい? 沢ちゃんに?
——ううん。なんでもないよー。ただちょっと、運命ってやつを信じたくちゃったなあと。ねえ、中里さん?
……そうですね。高林さん
オレも、信じたくなりました。
運命ってやつを。
「やっぱり、他の人がはめたリングは……お嫌ですよね……?」
しゅんと萎れる佐伯さんに、オレは笑って首を振った。
「いえ、ぜひ、これをいただきます」