ヴァージンロード <続>Mysterious Lover
◇◇◇◇
運命、なんて言葉にすがるわけじゃないけど、
でも、再び出会えたそのリングが、オレの心を強くしてくれたことは
間違いないようで。
オレは足取りも軽く、代々木へ向かった。
ところが——
病室にたどりついたオレの視線の先に、「沢木奈央」って札はなかった。
え?
嫌な予感のままドアを開けると。
誰も、いない……?
部屋を間違えたのか?
いや、そんなはずはないよな。
オレが投げ飛ばされたのは、確かにこの廊下だったんだから。
オレは焦ってナースステーションへ駆け込んだ。
「あの、502号室の患者、沢木奈央さんて……」
きょとんとした顔のナースが、「昼間、退院されましたけど」って答える。
「でも数日入院て……」
「ご本人がもう大丈夫だからとおっしゃって」