ヴァージンロード <続>Mysterious Lover

なんだよそれ……
奈央さん、何もオレ、聞いてないのに……!
どうして何も、知らせてくれないんだ?

病院の玄関をでてすぐ、スマホから奈央さんの番号を呼び出した。


数回の呼び出し音の後。
ガヤガヤ、騒々しい音に混じって、『はい』と、耳に飛び込んできたのは……
男の、声。

ギョッと……真冬の海に放り込まれたみたいに、全身が凍り付いた。

……あいつの、声だ。新条和馬。

「なんで……あなたが、奈央さんの携帯に出るんですか?」

『なんで? それを、俺に聞くのか? 言っただろう。本気だって』

ギリッと、奥歯が音を立てた。
「……奈央さんは?」

『疲れて寝てるよ。俺の、目の前で』

なんだって……?

『こんな無邪気な顔して、オオカミの前で寝ちゃってさ。せっかくのチャンスだし、既成事実作っておくのも、悪くないかもしれないな』

「やめ……ろ……っ! その人に触れるなっ!!」
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