ヴァージンロード <続>Mysterious Lover
必死にさっきの会話を巻き戻す。
そうだ……新条の声の後ろ、かなり騒がしかった。
それから……別の男の声が聞こえたような。
甲高い、でも確かに男のもの。呼び込みの声だった。
聞き覚えがある。あれは……
奈央さんのマンションの向かい側、
スーパーのタイムセール!
高円寺だ……!
勢いよく駆け出したオレの前に、その時するりと。
ど派手なピンク色の車が現れて、行く手を阻んだ。
な……これ、ベンツか?
邪魔すんなよっ!
苛立ちながら回り込もうとしたオレの目の前で、音もなく窓ガラスが下がり。
「ハァイ!」
運転席から突き出された手、真っ赤なネイルがヒラヒラとひらめいて……
「ナディア!?」
「どこ行くのぉ?」
サングラスを額に押し上げて、能天気にナディアが笑っていた。
なんでこいつがここに……って、疑問が浮かんだけど、
今はそんなこと構っちゃいられない。
「乗せろ」