ヴァージンロード <続>Mysterious Lover
……くそっ! 何が言いたいんだよ。
黙り込んだオレに、ナディアは再び、うふふ、と人の悪い笑みを浮かべた。
「言っておくけど、あたしは元カノなんて自己紹介しなかったわよ。ただ、『タクミと同棲してた』、『彼にとってスペシャルな存在』だって、言っただけ。それを勘違いしたのは奈央の方よ。あたし、嘘ついてないでしょ?」
『同棲』って……単なるルームメイトだろうがっ!
しかも『スペシャル』って……
なんだそれ、知るかっ!
口の先まで罵倒の言葉がでかかって……
ギクッと飲み込んだ。
——ナディアがいてくれて、よかった。
——お前は、ほんとにスペシャルなヤツだよ。
う……
思い出した……。
確かに……言った……。
あの時か。
オレはゴンて、窓ガラスに頭を打ち付けた。
ヒビでも入りやがれ。そう呪いたい気分だった。
◇◇◇◇
駅前の喧騒をつっきり、まだ築浅の10階建てマンションの前へ
車が停まるなり、オレは飛び降りた。