ヴァージンロード <続>Mysterious Lover

「おひとり様1点限り! なくなり次第終了となりますー!」
スーパーの前、声を張り上げるスタッフを流し見ながら走って。
そして……すぐ足を止めた。

意外なことに、外壁にもたれるようにして、エントランス脇に新条が立っていたから。
ベッドルームに踏み込む覚悟をしていたのに。

どういうことだ……?

その時になってようやく、
オレは、奈央さんの部屋が7階であることを思い出した。

7階の部屋で、窓を閉めて。
この呼び込みの声が、電話越し、あんなにはっきり聞こえるものか?

……まさか。

新条はずっとここに……外に、いたとか?
でも……どうして?

当惑したまま近づいていく。

新条は、運転席のナディアを一瞥すると、鼻で笑った。
「へえ。美女と一緒にご登場、ってことは、奈央ちゃんのこと、譲ってくれる気になったのか?」

浮かんだ疑問を追い払い、オレは深く息を吸い込んだ。
「……構いませんよ」
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