愛を教えて
壱
「ねーぇーユウくぅ~ん」
授業中だというのに教室の後ろの方では不良たちがたむろって好き放題。
「なんだよ?んな甘えた声出して」
気まずそうに、だが注意もせずに授業を進める教師。
この学校に入学して1ヶ月、本当に腐った学校だと辟易している。
騒がしい不良たちの中で、一層騒がしいのが今会話をしている二人。
このクラスの不良のトップなのだろうが目障り耳障りで仕方ない。
まぁこの学校を選んだのはあたしだ、仕方ない。
「…えーと…じゃあこの問題を…深海ーフカミー、解けるか?」
呼ばれたあたしの名前に、またかと、溜息を吐く。
この学校を選んだ理由。
それは授業がとても簡単だからだ。
テスト勉強などせずとも余裕でトップを取れる程に。
やりたいことを存分にやれると思ってこの学校を選んだ。
仕方なく黒板へ向かい、答えを書いて席に戻る。
数学はこれだから嫌いだ。
極力席から動きたくないのに。
「正解だ。さすが深海だな」
ホッとした顔をしながら授業を進めていく教師にまた溜息が出た。
「深海ってさーマジガリ勉女だよねー!人生つまんなそーう」
キャハハと下品な笑い声を上げながらそんなことを言う先程の女。
先程の猫なで声とは大違いだ。