鶫さんはこんなひと
はあ、と一つ溜息をつき頭を掻きむしる。

「俺がどれだけ人気があって、どれだけ影響力あるかをよく考えるべきだったんだ」

 ……ん?

A嬢とB嬢の動きが固まる。

「そうだよな。俺みたいな人間に声掛けられて親しくなって、嬉しくならない人間なんていないし」

 ………。


「ホントごめん!軽率だったよ。これからは三人で仲良くやっていこう!」

 ………………。


この話は翌日会社中に広まり、A嬢B嬢だけでなく受付のC嬢、総務課のD嬢も充分身にあてはまる話だったが、その二人もそれ以来両角主任とは距離を置く事となった。

この出来事以来、両角主任は遠くから眺めるだけの観賞用扱いとなり、たまにこうやって私みたいな新入社員が引っかかりそうになると、先輩社員が警鐘を鳴らす、そういう事になっているらしい。




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