鶫さんはこんなひと
マニアでもなく、興味も関心も無い人に付き合わせるというのは、心苦しいものがある。今度機会があれば私達が鶫主任の趣味に付き合ってあげれば良いんだけれど…。
うーん。何だろうなあ。自動販売機のあったか~いよりも温かい雰囲気の持ち主だ。
シルバニアファミリーマニアとかだったらどうしよう。(別にどうもしないけど)
ちなみに松代先輩は暗渠(あんきょ)マニアだ。

「何だ。こんな所にいたんだ。探したぞ」

この声は!

声の主を確認。出た。やっぱり。
営業二課両角雅春(もろずみままさはる)主任のお出ましだ!

「そろそろ出ようか。約束は2時じゃなかったっけ?」

腕時計を確認しながら、足取りも軽やかに明里さんの近くまで来ていた。
す、…素早い…。

「わ。もうそんな時間だったんですね。すみません鶫さん。参加人数が最終的に決定したら、必要な車の台数とか食材費とかまた訊きに来ますね」

そう言って明里さんは鶫主任にぺこりと頭を下げ、両角主任と経理課から出て行く。

その明里さんの肩を押すかの様に添えられた手。
鶫主任に会釈をして出て行く姿。
口の端を持ち上げた表情。

それとなく、侮蔑の意味を込められているのが分かる。


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