愛しい君だった

この手を離して





記憶を消してもらったあと




ちゃんと君の中から俺が消えたのを確認して





初めて会ったふりをして






妖精とか天使とか馬鹿みたいなこと言って






君の道案内になったんだ







記憶はもうないはずなのに






「てんちゃん」






なんて呼ぶんだもの





つい、泣きそうになったよ






天使じゃなくて案内人って言えばよかったかな






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