私を作る、おいしいレシピ

ド付き合いを始めながら、今度はおにぎりに手を伸ばす。


「あ、俺の今日シャケだ、当たりだ!」


酒田くんが、ぱあっと顔を晴れ渡らせて、仲道くんが冷たい目でそれに応える。


「いつからシャケが当たりになったんだよ。小梅のほうがうまいじゃん」


私が握ったおにぎりを食べながら、会話の尽きることのないふたりに、私は見入ってしまっていた。


「なあ、どっちがうまい?」


口もとに米粒をつけたまま、ふたりそろってそういうから、笑ってしまう。


「私は明太子」


言ったとたんに「好きな具材聞いてんじゃねぇよ」ってにらまれて、今度はおかしくなってお腹を抱えて笑った。

ああ、なんか楽しいな。
ヤンキーが私の人生に関わるなんてありえないなって思っていたけどさ。
カツアゲとかもされないし、むしろおいしいご飯をくれるなんて、いい奴らなんじゃないの。



ご飯を食べ終えて、急いで片づけをする。
私はこの昼食会に混ざるようになってから、台所洗剤とスポンジを持ってくるようになった。
このふたりは大食漢なので多すぎて残るということがなく、いつも綺麗に空になるお鍋は生ごみも出ないのでトイレ前の手洗い場で洗うだけで綺麗になる。


< 14 / 62 >

この作品をシェア

pagetop