私を作る、おいしいレシピ
*
本鈴ギリギリに教室に入ったのだけど間に合わず。
担任でもある数学の阿部先生はすでに教室に来ていて、私と酒田くんは睨まれてしまった。
「すみません」と頭を垂れる私の隣で、酒田くんの方は舌打ちして睨み返す。
だからー。その態度をやめなさい。
教室中からも視線を感じて、いたたまれない気分で席に着いた。
そして授業が終わると、女友達が一斉に私の周りに集まってきた。
「ちょっと、瑞菜。なんでヤンキー酒田と一緒だったの? 何したの?」
予想以上の反応に、私の方がびっくりしちゃうよ。
「何って、そこで一緒になったから一緒に入ってきただけだけど」
「絡まれたりしなかった?」
「何もしてないのになんで絡まれるのよ」
阿部先生を睨んだ後からずっと仏頂面になっちゃった酒田くんは、今は机に突っ伏して居眠りをしている。
さぼるなと言って連れてきたのは私だけどさ、寝てるのも意味ないって思うんだよ。
「別に酒田くんって怖い人じゃないと思う」
そう言ったら、周りの女子が顔を見合わせて黙ってしまった。
なんか嫌な空気だなって思ったけど、それ以上周りも何も言ってこなくて。
文句でもなんでも言ってくれたほうが楽だなとさえ思う。
あの見た目じゃ、こんな空気は日常茶飯事なんだろうな。
そう思ったら、私は少しだけ、酒田くんが教室にいたくないと思う気持ちも分かってしまったのだ。
仲道くんも自分の教室ではこうなのかしら。
ふと思い出す大きなヤンキーは、私の中ではいつも笑っている。
彼の表情が教室で曇っているというのなら、なんだか嫌だなと思ってしまった。
本鈴ギリギリに教室に入ったのだけど間に合わず。
担任でもある数学の阿部先生はすでに教室に来ていて、私と酒田くんは睨まれてしまった。
「すみません」と頭を垂れる私の隣で、酒田くんの方は舌打ちして睨み返す。
だからー。その態度をやめなさい。
教室中からも視線を感じて、いたたまれない気分で席に着いた。
そして授業が終わると、女友達が一斉に私の周りに集まってきた。
「ちょっと、瑞菜。なんでヤンキー酒田と一緒だったの? 何したの?」
予想以上の反応に、私の方がびっくりしちゃうよ。
「何って、そこで一緒になったから一緒に入ってきただけだけど」
「絡まれたりしなかった?」
「何もしてないのになんで絡まれるのよ」
阿部先生を睨んだ後からずっと仏頂面になっちゃった酒田くんは、今は机に突っ伏して居眠りをしている。
さぼるなと言って連れてきたのは私だけどさ、寝てるのも意味ないって思うんだよ。
「別に酒田くんって怖い人じゃないと思う」
そう言ったら、周りの女子が顔を見合わせて黙ってしまった。
なんか嫌な空気だなって思ったけど、それ以上周りも何も言ってこなくて。
文句でもなんでも言ってくれたほうが楽だなとさえ思う。
あの見た目じゃ、こんな空気は日常茶飯事なんだろうな。
そう思ったら、私は少しだけ、酒田くんが教室にいたくないと思う気持ちも分かってしまったのだ。
仲道くんも自分の教室ではこうなのかしら。
ふと思い出す大きなヤンキーは、私の中ではいつも笑っている。
彼の表情が教室で曇っているというのなら、なんだか嫌だなと思ってしまった。