私を作る、おいしいレシピ


放課後、生徒会の用事で職員室に行くと阿部先生に呼び止められた。


「なんですか?」

「いや? ……その、何か困ったことはないか? その、……酒田に何か弱みを握られたりとか」

「は?」


突然の頓珍漢な発言に、私の目は点になる。
阿部先生は首のあたりに手を当てつつ、言いにくそうに小声になった。


「もし、いじめとかがあるんなら相談に乗るぞ。優秀な生徒に何かあってはまずい」


私がいじめられている認定なのか?

一緒にいたから? なにそれー、それだけで?
驚きの発想に、慌てて弁解する。


「あの……別に酒田くんは悪いことなんてしていません。クラスメイトですし、普通に話くらいします」

「どうだか。あんな格好をしている奴、ロクな大人にならないだろう」

「そんな言い方……」


一方的に彼を非難されるのはイライラする。
だけど、ここで酒田くんを庇うのも何か違う気がして、それ以上は言えなかった。
あの服装と態度では、先生にいい印象は与えるわけはないし、実際授業はほぼ聞いてないもんな。


「とにかく、私は大丈夫です」

「何かあればすぐ言いに来なさい」

「失礼します」


頭を下げて職員室を出ると自然にため息が出た。

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