私を作る、おいしいレシピ
3.距離が近づく週末
小さなときは母親代わりのように毎日いたお手伝いさんも、私の成長とともに勤務時間は短くなっていた。
今は、平日の昼間五時間だけ。
その間に、家の掃除と片づけに洗濯、買い出しをして私の夕食を作って帰っていく。
たまに早く帰るときに、顔をあわせるくらいなものだ。
だから週末は、誰にも起こされない。
好きなだけ寝て、起きたらシリアルの朝ご飯を食べて、お手伝いさんには触らないようお願いしている自分の部屋の掃除をする。
色々片付いた後でようやく起きてくるのが母だ。
「おはよぉ、瑞菜。早起きね」
「おはよ、お母さん、なんか食べる?」
「適当でいいわよ。また出かけるし。あ、夕飯は外で食べてくるから。お金おいていくから、あんたも友達と食べたりしなさい」
「……うん」
「昨日パパから連絡があったわ。今度はインドですって。まったく一か所でじっとしていない人よね」
呆れたように言って、そのままバスルームに向かってしまう。
広いリビングの温度がまた一度くらい下がったような気がした。
みんな家にいないというのに、どうしてこの家はこんなに広いのか。無駄に腹が立って仕方がない。