私を作る、おいしいレシピ
「仲道くん、なんでここにいるの?」
「誠んち行こうと思って。途中でお前見つけたからさ」
「酒田くんちってこっちなの?」
「もっと学校寄りのコンビニ。お前知らないの? 絶対途中で寄ってると思うけど」
「え? どこ?」
言われてみたら、私の通学路上にあるコンビニだった。何度も寄ってるよ。
えーでも、あれくらい目立つ容貌なら見たら気づくと思うんだけどな。
「じゃあ、私こっちだから」
分かれ道で自転車を奪い返そうとしたけど、彼は私の自転車ごと向きを変えた。
「後で送ってやるからお前も行こう」
「えっ、でも」
「いいじゃん、暇だろ?」
「暇だけどさ」
でも米重たいのに。もっと荷物ない日が良かった。
しかしヤンキーは話など聞いていない。さっさと私の自転車を押したまま道を曲がってしまった。
方向を変えてから十分程歩くとコンビニ前についた。
仲道くんはバランスが崩れないように気を付けて、お店の脇道に自転車を止める。
そして、慣れているのか、正面からじゃなく裏口から入っていった。
「こんちは。誠いる?」
「おう、ハジメ。……あれっ、東條まで」
裏口を入ってすぐの所には店に面していない部屋があった。棚がいっぱいあって、どうやら在庫を置いておくところらしい。そこで、酒田くんがエプロンを付けて手伝っていた。
「来る途中で見つけたから連れてきた。なんかくれよ、誠」
「おう、ちょっと待って。なあ、母ちゃんー。賞味切れたやつくれよ」
彼の声に反応するように出てきたのは、コンビニの制服を着たおばちゃん。この人はよくレジをしてくれる人だ。酒田くんのお母さんだったのか。