私を作る、おいしいレシピ
*
イチくんはデカいだけあって自転車をこぐのも早かった。
二人乗り(しかも米つき)だというのに自分でこいで帰るより早く着いたと思う。
「あ、ここ、私んち」
「へぇ。でっかい家じゃん。瑞菜、お嬢様かなにかなのか?」
「まさか。親が見栄っ張りなだけ」
「ふうん」
イチくんは自転車を止めるとかごから米を出してくれた。
「ほら、重いぞ」
「……入っていかないの?」
てっきり上がっていくもんだと思っていた私は、出すお茶菓子のことまで考えていたというのに。
「土曜だし、親いるんじゃねぇの?」
「いないいない。うちに家族がいることなんてほとんどないから」
「……それって」
彼の頬が緩んだのを見て、迂闊な自分の発言を後悔する。
そうだよ、こいつはエロヤンキーだったんだわ。
「そういう誘いじゃないから! 変なことしないでよね!」
「そんな貧相な胸に欲情しねぇって言ってんだろ」
「うっさい!」
頭を叩くと、こつんと人差し指でおでこを押し返された。
ちゃんと手加減、されてるんだよね。私は本気で叩いているのに。
そう思えば、勝手な思い込みかもしれないけど、イチくんは無理矢理女の子を組み敷くとか、そういうのはしない気がした。
「重たいから持ってきてよ」
「おう」
私の後ろにくっついてリビングまで入ったイチくんは、部屋を見回して落ち着かなさげに足をぶらぶらさせていた。
イチくんはデカいだけあって自転車をこぐのも早かった。
二人乗り(しかも米つき)だというのに自分でこいで帰るより早く着いたと思う。
「あ、ここ、私んち」
「へぇ。でっかい家じゃん。瑞菜、お嬢様かなにかなのか?」
「まさか。親が見栄っ張りなだけ」
「ふうん」
イチくんは自転車を止めるとかごから米を出してくれた。
「ほら、重いぞ」
「……入っていかないの?」
てっきり上がっていくもんだと思っていた私は、出すお茶菓子のことまで考えていたというのに。
「土曜だし、親いるんじゃねぇの?」
「いないいない。うちに家族がいることなんてほとんどないから」
「……それって」
彼の頬が緩んだのを見て、迂闊な自分の発言を後悔する。
そうだよ、こいつはエロヤンキーだったんだわ。
「そういう誘いじゃないから! 変なことしないでよね!」
「そんな貧相な胸に欲情しねぇって言ってんだろ」
「うっさい!」
頭を叩くと、こつんと人差し指でおでこを押し返された。
ちゃんと手加減、されてるんだよね。私は本気で叩いているのに。
そう思えば、勝手な思い込みかもしれないけど、イチくんは無理矢理女の子を組み敷くとか、そういうのはしない気がした。
「重たいから持ってきてよ」
「おう」
私の後ろにくっついてリビングまで入ったイチくんは、部屋を見回して落ち着かなさげに足をぶらぶらさせていた。