私を作る、おいしいレシピ
なんだろう。
話すたびに会長の頬が引くついているような気がする。
それでも、イチくんたちを悪く言われるのは、私も黙ってられないというか。なんかムカつく。
「用件がそれだけなら行っていいかな」
「あ、ああ」
会長と離れたくてそういったそのタイミングで、声をかけられた。
「おーい、瑞菜」
マコちゃんだ。手を振り返そうとしたら会長が私の肩をつかんでいきり立つ。
「げっ、手榴弾っ。東條さん、もしかしてあいつとまで」
「酒田くんも親孝行で悪い人じゃないよ。友達なんだ。じゃあね」
確かに彼らはヤンキーと言われる見た目をしてる。
でもだからって、心まですさんでるなんてどうして思うの。
ふたりよりもずっと、真面目くさった顔してる私のほうが心の中はすさんでる。
誰にも期待しない。
それは言い換えれば、誰も信用していないということだもん。
「遅いぞ。ハジメもしびれ切らしてるぞー」
どうやらマコちゃんはなかなか来ない私を探しに来てくれたらしい。
ふたりにとって、居て当たり前の人間になってるのかと思ったら、口元が自然に緩んでしまう。
「行くぞ」
「うん」
マコちゃんの後をついていきながら、私は浮かれていた。
会長の怪訝そうな表情なんて、まったく気にしていなかったのだ。