私を作る、おいしいレシピ



マコちゃんに連れられて到着したのは、旧校舎の三階の教室。イチくんがコンロの前で憮然とした表情を浮かべている。


「遅い!」


並べられた紙コップにはすでにうどんがよそわれていた。


「さめちまうし伸びちまうし。つか、飯食いてぇし。早くよこせ」

「その物言い、もらう分際で図々しい」

「お前だってただでもらってんだろうがよ。がたがた言うな」


おにぎりとうどんを物々交換して、教室の椅子に腰かける。
火を囲むようにして椅子を並べているとなんだかお楽しみ会でもしているみたいだ。


「生徒会って忙しいのか?」


聞いてきたのはマコちゃんのほう。


「うーん。今は大したことないよ。予餞会と卒業式の仕切りくらいだし」

「それを大したことないって言えるのすげぇ」

「そうかな。じゃあ、途中で立って歩いたりしないでね」


生徒会として場を仕切る場合に一番困るのがヤンキーたちの存在だったりする。
彼らが積極的でないのはまあ仕方ないとして、だらけた態度で参加されるくらいなら、欠席してもらったほうがいいくらい。
突然立ち上がって出て行ったりされると、場は白けちゃうし、ヤジられても逆に周りは引いていくし。

説明したらマコちゃんは素直に頷いた。


「じゃあ今年はちゃんと見るよ」

「ほんと?」

「うん。瑞菜も前に出て話すんだろ。それを見てる」

「じゃあ頑張るね」


嬉しくなって答えたら、イチくんまで話に加わってきた。


「俺も大人しくしてるよ」


出会ったころは、集会なんて出ないって言ってたのに。
嬉しいな。私がいるから? なんて図々しい考えまで頭をもたげてしまう。

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