私を作る、おいしいレシピ
「でも……ごめん」
私は、謝ることしか思いつかなかった。
言葉にすればするほど、涙が湧いて出てくる。
私と彼らが違う人間だって言われているようで、謝ることで自分でもそれを認めてしまっているようで、言うほどに悲しいのに他の言葉が見つからない。
「いいんだって。泣かれるんじゃ本末転倒だよ」
マコちゃんがにかっと笑うと、私の髪をくしゃくしゃと撫でた。
そして……肩をぐっとひっぱられた。
彼の肩に頬が触れる。服に染みついていたのか、お昼の鍋の匂いがした。
「瑞菜が怒られてんの見たくないし。……好きな女泣いてたらこっちも気分悪いしな」
予想外の言葉に、私は一瞬思考が止まった。
好き?
好きってなに?
呆然としたまま顔を上げると、マコちゃんは真顔で、息をのんでこちらを見つめるイチくんも真顔だ。
「……え?」
私の反応に、マコちゃんは「うわー」と叫んだかと思うと肩をつかんでいた手を放してうずくまる。
くしゃくしゃの髪をさらにくしゃくしゃに掻きまわしながらマコちゃんは耳まで真っ赤だ。
「だーかーら。俺、好きなんだよ、瑞菜のこと」
ドキン、とした。真っ赤な顔に真剣なまなざし。私、告白されるなんて、初めてだ。
止まらない心臓は、確かにマコちゃんの言葉に反応しているのに、私は咄嗟に、イチくんを見てしまった。
その無意識の行為に、自分の気持ちを自覚する。
私が好きなのは……
口から飛び出しそうな言葉を両手で押さえ込む。
好きなのは……イチくんだ。