私を作る、おいしいレシピ
5.そこから始まる新たな日々
翌日、マコちゃんは学校をサボっていた。じゃあイチくんはと教室を見に行ったけれどもいない。
休み時間は旧校舎中を探し回ったけれど、ふたりを見つけることはできなかった。
お昼休みは、担任の阿部先生に捕まって、昨日のサボりのお説教をされた。
職員室の前の廊下で、声を潜めてこんこんと諭される。
「悪い奴らに影響されてどうする。順当にいけば、進学だって君なら推薦枠でいける。就職したいにしても内申が大事なんだぞ。わざわざもめ事を起こさないように」
「……悪い奴らって誰ですか」
「決まってるだろう。酒田や仲道みたいなやつらのことだよ」
「見た目が変だからですか?」
「授業もサボる」
「それは……」
確かにそうだ。学校という枠で見れば、彼らは“悪い奴ら”なんだろう。
それはそれで認めるべきなのかもしれない。
「じゃあ私が、授業に出るように言います。だったら悪い奴らじゃないですよね?」
「それは先生がやる。お前は奴らにかかわるな」
「だって……」
泣きそう。でも昨日、あきれるくらい泣いたのだから、もう泣かない。
泣き落としなんかじゃなくて、私のやり方で先生たちを納得させてみせる。
「先生が最初から“悪い奴ら”って決めてるからじゃないですか。一緒にいたら、みんな悪くなるって言って、追い出して。でも私は、彼らに救ってもらったんです。だから」
泣いて泣いて後悔して。
今朝起きて思ったことは“やっぱり無くしたくない”ってこと。
このまま終わりになんて、絶対にしたくない。
「私は先生に、彼らがちゃんと考えを持った人間だって認めさせてみせます。明日はちゃんと連れてきますから」