私を作る、おいしいレシピ


「おいっ」

「授業に出ればいいんですよね。そうしたら、先生、私に文句ありませんよね!」


五、六時間目の授業を、じりじりと焼けつくような気持ちで受けて、終わったと同時に鞄を持って駆け出した。
自転車に乗って向かうのはマコちゃんちのコンビニ。
学校にいないってことはここだろう。


「……こんにちはっ」


自動ドアが開くのが待ちきれなくて、足踏みしながらカウンターを見る。マコちゃんのお母さんがいつもの笑顔でお出迎えしてくれた。


「あら、いらっしゃい」

「誠くんいますか?」

「いるわよ。やあね、あの子サボっちゃって……」

「すみません、失礼してもいいですか?」

「ああ、裏口から回ってちょうだい」


そういわれて、いったん外に出る。


「誠ーお友達が来たわよー」なんて言ってるから、私が来た事感づかれてるかもしれない。
逃げられるより先に行かなきゃ。


「こんにちはっ」


裏口の扉を思い切り開けたら、そこにはヘアピンをいっぱいつけた酒田くんと、棒付きの飴を口にくわえた仲道くんがいた。ふたりとも、私に気付くと気まずそうな顔をする。


「なっ、瑞菜っ」

「はあ、はあ、ふたりとも、……いた」


息を切らせて仁王立ちする私を、イチくんはむっとしたように一瞥する。


「なんだよ」

「なんで学校サボるのよ!」


イチくんの冷たい視線に心は怯むけど、ここで逃げたら子供の時からの繰り返しだ。
伝えることから逃げてちゃいけない。大切ならば尚更。

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