私を作る、おいしいレシピ
「なんだよ、俺らのことなんて好きなじゃないんだろ。ほっとけよ」
マコちゃんが、すねたようにそっぽを向く。
嘘を、本物になんてもうしない。
ふたりを無くしたらきっと、私は二度と素直になんてなれない。
伝わるまで伝え続けるんだ。こっちを見て。私のこと、ちゃんと見ててって。
「あれ、間違えたんだもん」
ふたりの顔が私を見る。視線を浴びて顔が熱くなってくる。
今更何言ってんだこいつ、とか思ってるかもしれない。私の行為は迷惑かもしれない。だけど私は、もうひとりになりたくないの。
「私は、ふたりとも同じくらい好きだよ」
これも、厳密には嘘だけど。
マコちゃんのことも好きだけど、恋という点で気持ちはイチくんに傾いている。
それでも、今一番欲しいものは三人でいる場所。ふたりとも好きだって言える家族みたいな関係。
私はそれが欲しい。
「だから。一緒にいてよ。でなきゃ笑えない」
「……瑞菜」
イチくんとマコちゃんは、困ったようにふたりで顔を見合わせた。
「ね、一緒に学校行こう。私、お昼ひとりになっちゃう」
イチくんの腕をつかんだ。振り払われなかった、と思ったらホッとしたのか目頭が熱くなってくる。
「お願い。……一緒にいて」
イチくんは心底困ったような顔をして、視線で誠くんに問いかけた。
「……誠」
「俺は別にいーよ。一緒にいるのはチャンスだし?」
「自分を振った女といるとか苦行なんだけどな。……仕方ねーか」
ポン、と頭に掌がふたつ乗った。
その手は、同時にくしゃくしゃと私の頭を掻きむしる。
「俺たち、友達だもんな」
それを聞いて、私は心底嬉しくて、体中から力が抜けた。と同時に何かが緩んだのか、おなかの虫がぐぐうっとなる。……そういえば、イチくんたちを探すのに夢中で、今日はお昼を抜いたんだった。